店長がなぜ「ペットカートレンタルを始めよう!」って思ったのか。
ちょっとしんみりしちゃうかもしれないんですが、よろしければちょこっとお付き合いください。
**************************
店長の家には、ニコ店長補佐の前に先代犬がいました。
初めておうちの中で一緒に暮らした大型犬の女の子でした。
飼い主バカかもしれないんですが、とっても聞き分けがよくて、かわいくて、きれいで、優しくて!
寝る時も、仕事の時も、ご飯の時も一緒でした。自慢のワンコでした。
おばあちゃんになっても、ずっとずっと笑って暮らしていけるんだろうなあと、9歳のお誕生日をお祝いした直後でした。
後足を引きずって歩くようになったのです。
棘が刺さっているわけでもない、見た目に怪我をしているわけでもない。
でも足を触られることを嫌がる、痛がる、歯を剥いて怒る。こんなことは初めてでした。
数日様子を見ても良くなることもなく、私は病院に連れて行きました。
そこで、彼女が「骨肉腫」という病気であることが発覚したのです。
悪性腫瘍の一種で、転移が早いがんでもあります。
その子も診断された時には肺に転移が認められていました。
この病気は患部の痛みが強いことでも知られ、足を触られることを嫌がったのはこのためでした。
元気だったころはたくさん笑う、お散歩が大好きな子でした。
しかし病状が進行するにつれて、歩く距離がどんどん短くなっていき、
ついには自力歩行での散歩が出来なくなり、介護生活がはじまりました。
だんだんと彼女は笑わなくなりました。
何かを耐えるように、じっと窓際で外を眺めている事が増えてきました。
そんな彼女を見ているのがしのびなくて、せめて外の空気だけでも触れさせてあげたいと思ったんですね。
最初は、抱っこをして外に行っていたのですが、寝たきりで痩せたと言ってもそこは大型犬。
数十メートルで私がへたってしまい…そこでカートを購入しようと思いました。
でも当時、私のお財布が瀕死でした。薬代と治療費をまかなうのでぎりぎりだったんです。
結局カートは買えませんでした。
情けなくて私はその子の枕元で泣きました。
考えて悩んだあげく、私は安いキャンプ用カートを購入し、改造してペットカートとして使うことにしました。
安い荷運び用のカートだったので正直寝心地はよくなかったと思います。
それでも少しでも楽な姿勢になるようにってタオルケットを何重にも敷いて、でこぼこのないところをできるだけ選んで歩いて…。
当時は真夏でしたので、夜中にその改造ペットカートに彼女を乗せて散歩をしました。
夜とはいってもとても蒸し暑く、改造カートなので揺れるし、寝心地悪いし、彼女にとって快適な散歩とは言い難かったと思います。
それでも彼女は風に鼻を立てて、私たちに笑顔を向けてくれたのでした。
介護生活が始まってから、久しぶりに見た彼女の笑顔でした。
それから数日後、彼女は虹の橋を渡って行きました。
彼女を見送った後、「寝たきりになった子を散歩に連れて行ってあげたい」って思っている飼い主さんが少なからずいることを知りました。私と同じように金銭的な問題で「なかなか購入に踏み切れない」って話も。
カートを使いやすくするためにはどうしたらいいのかなあ…と、私は考えました。
介護だけでなく、旅行やレジャー、いつでもどこでもみんなが一緒に歩けるようにするには…?
……
………
「ペットカートを必要な時に、必要なだけ、借りることができたら?」
これなら、カートを買うお金が無くても、カートを置く場所が無くても、使えるんじゃないか。
それでいつかペットのお仕事ができるようになったら、片隅でもこのレンタルカートをできたらいいな。
と思ったのが始まりで、きっかけなのです。
**************************
最初は置物だったレンタルカートも、最近は少しずつ利用者の方が増えてきました。
このきっかけを与えてくれた彼女は、フレームの中から店長の仕事ぶりを見守ってくれています。
あの時、彼女と一緒に歩いた気持ちを忘れずに、
飼い主さんとペットたちの笑顔になるお手伝いがレンタルカートでできるといいなと思いつつ。
今日も店長は仕事に励みます。